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最新記事【2008年07月04日】

案の定この判決に関して各局は軽い扱いしかしていないようなので、学生の目に付くように念のためこちらにも。これ読んでも、i'm lovin' it?

http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~go/blog/2008/2008-01-29.html

判決というのは、残業が月100時間を超え(厚生労働省による「過労死ライン」は月80時間)、2ヶ月間休めなかったこともあるという埼玉県のマクドナルド店長が残業代の支払いなどを求めた裁判において、東京地裁が日本マクドナルドに対して未払い残業代など750万円の支払いを命じた1月28日の判決のこと。マクドナルドは控訴するようですが(追記:翌日の29日に控訴しました)、たぶん原告の店長がもうこれ以上耐えられないと思うので、結局は和解に応じてしまうことになるんでしょう。ただ、この案件は今後の日本社会における雇用環境にも多大な影響を与えるかもしれないので、これから就職していく皆さんのために少し解説をしておきましょう。

裁判の争点になったのは、「店長」職が労働基準法で残業代の支払い義務が生じないとされている「管理監督者」に当たるかどうか、という点。裁判所は今回、管理監督者を「経営者と一体的な立場にある者」と限定し、マクドナルド店長は「企業全体の経営方針の決定過程に関与していない」だけでなく、「権限は店内に限られている」し、「一部店長は部下の年収を下回り、待遇も不十分」といった理由から、肩書きは店長であっても実質的に管理職ではないと判断しています。

経団連などに後押しされて、現在日本政府は、管理職相当を対象に残業代の支払い義務をなくすホワイトカラー・エグゼンプションの導入を目指していますが、もちろんこの件はその議論にも絡んでくるわけです。現在は「管理監督者」を明確に定義する文言が法律にないので、今回の裁判のようにその都度裁判所に判断してもらうしかないわけですが、経営者側はこれを一律に法律で規定してもらおうと政府に働きかけている状態なのです。表向きには「多国籍企業の競争が激化するグローバル資本主義化が進む未来において、国際競争力を維持する一助となる」といった導入理由が掲げられていますが、マクドナルドというグローバリゼーションを象徴する企業において起きた今回の事例を見ると、その本質は単なる労働コスト削減が目的なのではないか、とも十分考えられます。

日本でもホワイトカラー・エグゼンプションが導入されると、就職した皆さんに対しても、「はい、今日から君は管理職なので残業代一切なしね」と会社が言ってくる可能性があるわけですが、欧米と違ってすでにサービス残業やサービス休日出勤が普通になっている日本の雇用環境では、その傾向にまったく歯止めがなくなってしまい、このマクドナルド店長と同じような事態があちこちで見られることになるんじゃないかと危惧する識者も多いわけです。この店長は午前4時半に自宅を出て、帰宅は午前零時過ぎ、「僕たちが死んでもお葬式にも参列できないね」と自分の息子に言われたそうですが、明日は我が身かもしれませんよ。

バイトをしている学生が、いろんな言い訳の中で「バイト・マネージャーなのでなかなか休めなかったんです」といったようなことを言ってきますが、ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されると、そういうタイプの人は真っ先に「過労死」予備軍に入ってしまうんじゃないかな? 「店長の風景」というマクドナルドがつくったサイトを見るといかにも格好良さそうだけど、「店長」とか「リーダー」とか「マネージャー」とか、何となくカッコイイ肩書きには気をつけるように。そして、今後のホワイトカラー・エグゼンプションをめぐる議論に注視することも大事ですね。でも、視聴率のためか何か知らないけど、芸能人にニュースを読ませる時代だからなぁ〜。困ったもんだ。

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