働くナビ:「名ばかり管理職」その広がりの実態は。
◆「名ばかり管理職」その広がりの実態は。
http://mainichi.jp/life/job/news/20080218ddm013100107000c.html
◇あらゆる年齢、企業規模で
日本マクドナルドに対し、店長に残業代を支払うよう命じた東京地裁判決(会社側は控訴)は、外食や流通業界を中心に波紋を広げている。コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンが3月1日以降、店長に残業代を支払うように改めるなどの動きが出てきた。しかし、実態はどうなのか。日本労働弁護団の電話相談「名ばかり管理職110番」に、さまざまな相談が寄せられた。
厚生労働省の通達では、(1)経営と一体的な立場(2)出退社の自由(3)基本給や手当など地位にふさわしい待遇--などが、管理職の条件とされている。
今回、日本労働弁護団が受けた100件以上の相談のほとんどは、厚労省通達の条件を満たしていないにもかかわらず、管理職として扱われ、残業代などが不払いになっていたケースだ。相談者の年齢は10代から60代まで、企業規模も従業員10人未満の中小企業から1000人以上の大企業まで広がっていた。
東京都内に住む資格関連の会社で働く女性(41)は「管理職候補」という肩書を持っていたが、部下はなく月に60時間近くの残業も不払いだった。この女性の会社では、社員全員が何らかの管理職扱いで、平社員はゼロだった。
大阪のホテルの調理師(40代)は「副課長」という肩書で管理職扱いとされ、残業代がなくなった。その結果、部下の係長より年収が低い逆転現象になった。都内のある銀行では、副支店長には実質的な権限がない。しかし、「管理職は最後まで残るように」と指示され、月80時間の残業がただ働きとなっている。茨城県のコンビニ店長(42)は、タイムカードを押してからの残業を命じられた。休日出勤の際もタイムカードは押せず、勤務シフトに穴が開くと店長が埋め、午前4時の帰宅もある。にもかかわらず、残業代の代わりの管理職手当は1万~5万円程度で、時間給に換算すると、1時間63円という例さえあった。
日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士は「管理職一歩手前の労働者を労働時間規制から外すホワイトカラー・エグゼンプションが昨年導入されようとして、社会の反対で断念された。こんな制度が導入されていたら、名ばかり管理職の働かされ方が合法になるところだった。長時間労働の温床にもなっている名ばかり管理職の問題をただしていきたい」と話していた。同弁護団の労働相談は毎週火、木曜日の午後3~6時、電話03・3251・5363で行われている。【東海林智】
毎日新聞 2008年2月18日 東京朝刊