名のみ管理職 大手企業のやることか
職務権限も自由に働く裁量もないのに管理職扱いされ、残業代を受け取れなかったのは違法だ、との主張を東京地裁が認めた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/73202.html
ハンバーガー・チェーン大手「日本マクドナルド」の直営店の店長が会社を訴えていた。
地裁は未払いの残業代など七百五十万円余を支払うよう会社に命じた。
労働基準法は、一日八時間・週四十時間を超える労働には残業手当を支払うよう義務づけている。ただし、管理監督の立場にある場合は適用外だ。
会社はこの例外規定を利用し、店長を管理職扱いとして残業代の支払いを免れていた。いかにも姑息(こそく)だ。
厳しい判決が出るのは当然だ。
判決は「店長には経営者と一体的立場といえる重要な職務と権限はなく、労働時間の裁量もない」とし、残業代不払いは労基法違反だと認定した。
さらに、「一部店長は部下の年収を下回り、待遇も不十分」とした。
管理職の要件をほとんど満たしていなかったことにあぜんとする。
外食産業やコンビニ業界を中心に、名ばかりの管理職が増えている。
価格競争が激化するなか、労働時間の規制を受けない管理職を多くして総人件費を抑えるためだ。
現場には重要な権限を与えず、「売り上げ増」や「アルバイトの人件費削減」といった責任を押しつける。
店舗内で唯一管理職の店長が今回のように孤軍奮闘し、長時間のサービス残業を余儀なくされることになる。
原告の時間外労働は多い月で百三十時間を超えた。過労死につながりかねず、安全衛生面でも深刻な問題だ。
管理職に当たるかどうかが問われた裁判は全国で三十件ほどある。大半は労働者側が勝訴している。
紳士服大手「コナカ」の元店長が同様に、残業代の支払いを求めた労働審判では先週、会社が解決金六百万円を支払うことで合意した。
労働に見合った賃金を払うのは企業の義務だ。管理職に登用するならば、手当や権限の面で処遇すべきだ。
非正規雇用が増えている。賃金不払いの訴えが後を絶たない。労働関係の民事事件は年間三千百件を超えた。労働紛争の相談も急増している。
労働行政のほころびが働く人々の立場を不安定にしている証拠だろう。
判決を受け、いったん白紙になったホワイトカラー・エグゼンプション導入の議論が再燃する恐れがある。
管理職一歩手前のホワイトカラー労働者の労働時間規制を撤廃する制度のことだ。店長クラスを対象に含めてしまえば、経営側に都合がいい。
だが、導入されれば、今回のような「店長=管理職」を制度によって追認することになりかねない。
企業はいまこそ襟を正すべきだ。労働行政もしっかりせねばならない。