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『日本をだめにする40の悪法』出版記念トークセッション

 9月14日、東京のジュンク堂新宿店で『日本をだめにする40の悪法』の出版を機に、ジャーナリストの斉藤貴男さんと安田浩一さんのトークセッション『齋藤貴男と悪法が作られる背景と政治潮流をトークする』が開かれました。

http://www.news.janjan.jp/culture/0710/0710013238/1.php

 まずはじめに、この本の編集者である合同出版社の八尾浩幸さんから問題提起がありました。

 「まさか、こんなこと(安倍首相の辞任)があるとは思っていなかった(笑)中で出版された本ですが、今この本が出版された意味は大きいと思っています。悪法と言えど、施行されれば私たちの生活に影響する訳で、改正または廃止しない限り続くことです。『悪法』を楽観視できる状況ではないと思います。これらが施行されたら出来上がっていく世界を斉藤貴男さんにお話いただきます。 もう1点は、本書の6章に書かれている『憲法改悪』・戦争できる国へということで憲法改正について話していただきたい。」

斉藤貴男氏

斉藤貴男さんの話より

 「私の父はシベリアから最後(1956年)に帰還した1人です。帰還してからずっと監視がついていました。長くシベリアにいたのでスパイだと思われていた訳です。また、私は希望した会社に入れなかったのですが、あとから知人に『そんな人(帰還兵の息子)が入れる訳がない』と言われました。私は2代にわたって国家・社会から監視された人間です。

 日本は、戦後『戦争をしない』ということを通してきました。日本の首相は独裁者ではないので、人が替わったからといってすぐに大きく変わることはないでしょう。しかし今、差別(格差)が意図的に拡大され、(テロ特措法が成立し憲法改正が行われると)戦争が日常的にされるようになる。


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 憲法改正について言えば、経団連が初めて見解を発表しています。御手洗会長は、期限を切って『憲法改正の実現を目指す』とはっきり言っている。また、これはまだあまり知られていないことも含めてですが、米軍との協力関係ではすでに戦時下にあると言っても過言ではありません。もし、日本が今よりはっきりと戦争に加担・参加するようになれば、自衛隊員だけでは足りなくなります。どうするか。徴兵制度も考えられますが、アメリカは徴兵制度を採っていない。貧困層(移民やマイノリティの人々など)が収入面や国家への協力のために志願しているのです。

 日本でも、このことは考えられると思います。ですから、現在起きている『社会的差別・経済格差』と『戦争の日常化』の2つは関係があることなのです。教育基本法の改正、防衛庁が省になったこと、憲法改正・テロ対策特措法などは政府の思惑などではなく、本当に戦争の日常化に繋がるものなのです。」

 「1999年は、1つのエポック。(住基法改定、盗聴法成立、国旗・国家法制定など)これらが現在審議中の共謀罪に繋がっている。この辺のことを安田さんに話してもらいます。」

安田浩一氏

安田浩一さんの話より

 『統制国家を目指す悪法』とは何か? それは、『人間の内面に立ち入る(踏み入り規制する)法律です。これらの対象になるのは、(思想の)左右に関係ない。

 例えば、先日開催された世界陸上大阪大会会場付近の公園で、ある青年が逮捕されました。この公園で生活する人たちが排除されたことは結構報道されましたが、この件はほとんど報道されていません。この青年は、支援団体の人です。逮捕理由は道路運送車両法違反ですが、共謀罪がなくてもこのような逮捕ができてしまいます。

 抜身の刀をちらつかせるだけで萎縮させる。上の方から押さえつける。これが政府の狙いです。共謀罪は何のために取り締まるのでしょうか。(思ったことを)やらない、言わない社会になっていくでしょうね。

○ ○ ○


 「ところで、必要以上に不安を煽っているといった斉藤貴男批判がありますが、いかがですか?」

斉藤 「オオカミ少年か?という話ね(笑)。確かに、絶対に私が言ったとおりになるということは断言できないけれども、取材で得た感触から判断している訳です。みんなが知っているようなことだけではないですし。」

 「例えば、『兵籍簿』は現在の納税者番号に繋がっている。兵役のためと言って個人の情報が国家に管理されていた。納税の管理のため必要という住基ネット=国民総背番号制になりかねない。つまり、1つの法や制度はマスターキーとなるのです。国家の管理は1個進めば2個、3個はすぐ進みます。」

 「もう1つ、厚生労働省と内閣府が検討している『残業代ゼロ法案=ホワイトカラーエグゼンプション』というのがあります。雇用規制緩和という名の下に、サービ残業を強いるものです。舛添厚労大臣は、『家族団らん法案』とか『早く帰ろう法案』などに名称を変えると言っていますが(会場から笑い)」

斉藤 「みなさん、自分で働き方を決められますか? 『過労死』と『過労自殺』は同じだとすでに言われています。働き方を変えない限りホワイトカラーエグゼンプションが施行されても残業が減るばかりかサービス残業が増えるばかり。権力を持っていない人の尊厳・命が大切にされないのです。」

 

会場からの質問

-ネットカフェで未成年者の取り締まりが盛んに行われています。これは、「(青少年育成)条例」に基づくものだと思いますが、「条例」と「法律」の関係はどうなっているのでしょうか。

安田 「『条例』は地方公共団体が独自に定めるものだが、国の動きと無縁ではない。顕著な例として、『生活安全条例』で地域と警察が一体となる動きが出ている。住民総動員で取締りや警備に当たり『民間警察』のような働きをしているところもある。『自警団』などと名乗っているものもあり、「誰から何を守っているのか?」が問題だと思う。」

斉藤 「『治安維持』は程々にと思います。『テロ対策』を言うなら、原因を作らなければ良いのです。一番良いのは貧困をなくすことだと思います。」

 

 この本の出版と前後して安倍首相の辞任・新政権の発足と日本の政冶に関わるいくつかの変化がありましたが、「多くの人が知らないところで起きていること、準備されていること」には引き続き注意していなくてはならないと、お2人の話を聞いて考えました。

 その意味でも、この『日本をだめにする40の悪法』は多くのことを示唆していると思います。

(宮沢さかえ)

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