労働ビッグバンは時間をかけてでも実現すべきだ
経済財政諮問会議民間委員である八代尚宏・国際基督教大学教授へのインタビューは今回が最終回。あまり知られていない事実がいくつか明らかになった。例えば、現在の労働基準法の下では、場合によって裁量労働制が違法行為となるリスクがあること。ホワイトカラー・エグゼンプションと休暇取得義務の不明確な関係など……。
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経済財政諮問会議での議論をふまえて、6月中旬、政府が「骨太の方針2007」原案を発表した。その原案に記載されていなかったために、一部の報道機関は、「労働ビッグバン」構想は「自滅」したと報じた。だが、八代氏は「まだ消えていない。時間がかかっても実現すべきだ」と力説した。
正規・非正規社員の賃金格差の是正に「同一労働・同一賃金」の原則が必要
Q3「若年層の雇用抑制は、年功賃金の正規社員が手厚い規制に守られているせいだ。不公平な格差是正という観点から、正規社員の『年功特権』の見直しが必要。終身雇用と年功賃金の恩恵を受ける一方で、長時間労働を強いられる正規社員と、労働時間は短時間だが不安定雇用な非正規社員の待遇は、両方とも極端。正規社員の『年功』部分を是正することで、賃金は正規社員と非正規社員との中間に合わせるべきだ」という八代氏の見解について。
中野麻美・NPO法人派遣労働ネットワーク理事長:本末転倒と言うしかありません。平均年収200万円以下の非正規社員の賃金に正規社員の賃金を近づけるという発想そのものがおかしい。むしろ、非正規社員の正社員化を進めるべき。正規社員を非正規社員の仮想敵に仕立てて、いたずらに両者の対立を煽ろうとする意図を感じます。(詳細はこちら)
■中野さんは、「非正規社員の待遇改善を口実に、正規社員の人件費を圧縮しようとしているだけではないのか」とおっしゃっていました。いかがですか?
八代 確かに、非正規社員の賃金水準の引き上げは必要です。しかし、現行の正規社員の年功賃金を維持したままで、1700万人の非正規社員のすべてを正規社員にするのは非現実的です。
また、正規社員と非正規社員の利益は、元々対立するものなのです。具体的には、正規社員にしか適用されない年功制度や、正規社員の雇用を守るために非正規社員をまず解雇するように求めた、過去の判例などから明らかです。正規社員と非正規社員との不合理な賃金格差を是正するためには、年功制ではない「同一労働・同一賃金」の原則に近づけていく必要があると思います。