骨太の方針 「闘う政治家」の自負はどうした
政府の経済運営や予算編成の基本方針「骨太の方針2007」があす、経済財政諮問会議での了承を経て閣議決定される。安倍晋三首相にとっては初めてで、参院選で事実上のマニフェスト(政権公約)となる。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200706180338.html
十二日の原案発表のあと、年金記録不備問題で最新の対応状況となるよう自民党が一部を差し替えた。参院選を控え、ぜひともアピールしたかった成果にちがいない。全体としては最終案はほぼ原案どおりでスムーズに決まったようだ。
それはそうだろう。原案はすでに「地域力再生機構」「ふるさと納税」など、地方を意識した参院選対策の色合いが濃い項目が織り込み済みだった。
そうした与党の思惑は、骨太の方針で言質を得て予算を獲得したい各省庁とも一致する。
一方、消費税や公共事業費削減幅、社会保障関係費抑制の方策などは先送りした。ここでも参院選への意識が見える。
首相は国民のためとあらば批判をおそれず行動する「闘う政治家」を自負する。それなら参院選は展望を示して信を問う好機のはずだ。首相は言に背き、責任を果たしていない。
昨年の骨太の方針では歳出削減計画が目玉だった。それが一転、今度は実行できるか不透明になった。これも後退ぶりを物語る最たるものかもしれない。
結果、「骨太」とは名ばかりで各省庁に都合の悪い「小骨」は次々と抜かれた。教育や環境で独自色を出そうと努めたにしても、これでは首相の構造改革への意欲に疑問符がつく。
もちろん、個々の政策の是非は区別して論じる必要がある。
たとえば米国や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の推進は農林水産省の反対で削除。国立大への成果主義的な交付金配分はあいまいな文言にとどめた。ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)など反発の激しい労働規制緩和策も見送った。
どれも格差に悩む地方や労働者への影響が大きく、性急な具体化には賛成できない。踏みとどまったと考えれば評価できなくもないが、問題は首相の主体的な決断かどうかだろう。
竹中平蔵元経済財政担当相は小泉前首相の威光をバックに、郵政民営化や不良債権処理で抵抗勢力を押し切った。政治手法には功罪両面あるが、改革の推進役となったのは事実だ。
それが後戻りを余儀なくされたのは、竹中氏ほどの政治力を望みにくい大田弘子担当相の後ろ盾となるべき首相自身の支持率急落、求心力低下が大きい。
さらに、有識者会議の乱立にみられるように政策の優先順位がわかりづらい。そのことはそのまま総花的と評される骨太の方針に反映されている。
改革が各論へ移るに従って抵抗が増す難しさは理解したい。それにしても目指す先が見えないのは大いに物足りない。
あくまで内向きの内容のまま目先の選挙対策を優先するか、具体像を掘り下げて国民の支持を訴えるのか。首相の正念場はなお続くことになる。