過労自殺最多 犠牲者なくす対策強めよ
仕事に追いまくられ、ストレスがたまり、過労死したり、自ら死を選んでしまう。日本の労働者の心身共に追いつめられた実態が、厚生労働省のまとめた二〇〇六年度の労災認定状況から明らかとなった。
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/05/21/2007052108122641002.html
うつ病など精神障害の労災申請は、前年度比25%増の八百十九人で、認定者数は61%増の二百五人だった。このうち未遂を含む自殺の認定は、前年度の四十二人から六十六人と過去最多を記録した。
精神障害での認定者の職種は専門技術職が、29%で最も多かった。年代別では、働き盛りの三十代が40%を占めた。自殺者に限ると五十代が32%で、三十代が29%。管理職となる五十代ばかりでなく、中堅の三十代にも大きなプレッシャーがのしかかっていることが分かる。
過労によって脳出血、心筋梗塞(こうそく)などの脳・心臓疾患になり、労災と認定されたのは三百五十五人で過去最多だ。直前数カ月の平均残業時間は、八十―百時間が最も多く百十六人で、百六十時間以上も二十六人いた。過労死した人は前年度より十人少ない百四十七人だった。
グローバル化が進む中で、企業はリストラや職場の効率化を進めて生き残りを図ってきた。いざなぎ超えといわれる戦後最長の景気拡大が続いているが、そのしわ寄せが働く人々の心と体に及んでいることを浮き彫りにした。
働く環境は厳しさを増し、長時間労働の状態は改善されないままだ。総務省の労働力調査では、週に六十時間以上働く労働者は一九九九年以降11―12%で推移しており、過労死認定基準の「二―六カ月間、月八十時間を超える残業」に該当する可能性がある。
厚労省は、事務系の労働者に労働時間規制を一部除外するホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入を目指したが、労働者側に「過労死を助長する」「残業ゼロ制度だ」などと反対され断念した。経営者側からは依然として導入を求める声は強いものの、過労死、過労自殺の多い現状では、不安が残る。
過労自殺問題では、最高裁が二〇〇〇年、広告代理店社員の損害賠償訴訟の判決で企業の安全配慮義務を指摘したことで、企業の対応が変わってきた。社員のメンタルヘルスに力を入れ始め、残業の多い社員に医師のカウンセリングや健康診断を受けさせるなどの対策が取られるようになっている。犠牲者を生まないために、取り組みの強化が必要だ。長時間労働を改めて、社員が安心して働ける環境整備に努めることが、企業の利益にもつながるとの認識を深めたい。